筆耕
こんにちはもじやです
「筆耕」という仕事があるのを、ご存じでしょうか?
筆で文字を書き報酬を得ることを指します。いわゆる代筆屋ですね。
発注依頼は多岐にわたります
賞状、封筒やハガキの宛名、のし袋、飲食店のメニュー、目録、結納目録類、看板、墓文字の原稿、等々
プラスチックの板に書いたり、木の板に書いたり、素材も紙ばかりじゃないのです
紙以外に書く時は、その素材に合うものを使用して文字を書きます
アクリル板やプラスチックに書く
まず表面を濡らしたキッチンペーパーで拭きます。指紋や油分があると、文字が弾かれて、うまくのりません。
先日2mほどのアクリル板に文字を書くという発注がありました。端っこに試し書きをしてみると、弾いてしまいます。(文字が渇かないうちは濡れタオルで拭き取れます!)
こんな時は細かい目の紙ヤスリで全体をかるーく擦ります。私は1500番の紙ヤスリを使用しています。うっすら傷つけるイメージですね、こうすることでストレスなく文字が書けます。ただ、この場合は、うっすら付いた傷に色が入り込んでしまうので、失敗しても書き直しできません。
さて、書きましょう!
アクリル絵の具や、ペンキで書きます。
粘度が強く書きづらいので、少しずつ水を足しながら様子をみます。
木に書く
今では少なくなりましたが、木の表札や木の看板に直接書く場合、ちょっと良い固形墨を粘りが出るくらい擦ったものが一番いいと教えてもらいました
防虫、防腐効果がありますので、風雨が直接当たらない場所であれば、文字の周りが劣化しても、文字のところはしっかり残ります。
そもそも固形墨は化学薬品などは不使用で、混ざりものがないので、数十年経っても色がのこるのです。
余談ですが、宝物庫など現存している古文書や巻物には色とりどりに描かれた絵や文字が残っています。この色や墨は自然の植物や鉱物から抽出されたものなので、何年経っても美しく褪せないのです。
3月は特に様々な発注をいただけます
賞状類はもちろん、布に書いたりガラスに書いたり
別れ行く方に送る言葉を書いたり
一つひとつの想いがありますので、心を込めてお書きいたします。